結婚相談所 / 契約したあとに見るもの
結婚相談所の退会費用——途中でやめるときの違約金の上限を、条文から計算する

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- 特定商取引法・施行令の条文(e-Gov法令APIの原文XML。2026年7月22日および7月31日に取得)
- 消費者庁「特定商取引法ガイド」の特定継続的役務提供の解説(2026年7月31日)
- 国民生活センターの消費者トラブル解説集・FAQ(同日)
- 特定の結婚相談所の会員規約の解約条項(各社の規約は取得していません)
- 実際に解約を申し出た一次体験
- 裁判例(判決文にあたっていないため、争いの決着については書いていません)
結婚相談所を途中でやめると、いくら請求されるのか。 法律が上限を決めています。
サービスが始まったあとにやめる場合、違約金の上限は2万円か、残っている契約金額の20%か、安いほうです。「安いほう」なので、残りが10万円を超えたら、上限はずっと2万円のまま。残り30万円でも50万円でも2万円です。
ただし、上限が付くのは違約金だけです。請求書にはもう1つ、「もう受けたサービスの分の料金」という項目が並びます。こちらに上限はありません。 金額でもめるのは、たいていこちらです。
そして、上限そのものが効かない契約もあります。 法律が割賦販売と呼ぶ形で提供・販売される場合です。法律が、上限の規定を「適用しない」と書いています。
クーリング・オフができる期間
違約金の上限(残額10万円超なら一律)
上限。開始後より高い
先に、言葉を1つ揃えます。 相談所の窓口や会員規約では「退会」と呼びます。法律の条文では「中途解約」です。指しているのは同じ行為です。
退会を申し出た時点で、この記事に出てくる条文がそのまま働きます。以下、条文を引くところでは条文の言葉を使います。
使うのは、特定商取引法の第41条から第50条まで。e-Gov法令APIから取った原文で確かめていきます。
01やめ方は2つあって、効き方がまるで違う
法律が用意しているやめ方は2つです。クーリング・オフ(法48条)と中途解約(法49条)。名前が違うだけではなく、お金の戻り方が根本から違います。
| クーリング・オフ(法48条) | 中途解約(法49条) | |
|---|---|---|
| 使える時期 | 書面を受け取った日から起算して8日以内 | 8日を経過した後 |
| 違約金・損害賠償 | 請求できない(4項) | 上限つきで請求できる(2項) |
| すでに受けたサービスの代金 | 請求できない(6項) | 請求できる(2項1号イ) |
| 受け取り済みの金銭 | 速やかに返還(7項) | 上限を超える部分は請求できない |
| 効力が生じる時点 | 通知を発した時(3項) | 条文に発信主義の定めなし |
表の3行目が、いちばん大きな差です。8日以内なら、すでに面談やお見合いが行われていても、その分の代金を請求されません。中途解約のほうには、そう書いた条文がない。だから提供済みの分は払う。8日という線は、そこで引かれています。
結婚相談所は、法律が「やめる側」に権利を置いているサービス
結婚相談所は、特定商取引法が特別に見張っているサービスです。第4章の特定継続的役務提供という枠に入ります(法第41条)。エステや語学教室、学習塾も同じ枠です。
政令の別表には結婚を希望する者への異性の紹介という名前で、7番目に載っています。
なぜこの枠なのか。条文が、そのまま理由を書いています。法第41条第2項は、ここに入るサービスの条件を2つ挙げました。
- 心身または身上に関する目的を実現させることで誘引されるもの(第1号)
- その目的が実現するかどうかが、性質上たしかでないもの(第2号)
両方に当てはまるものを、政令が名指しで指定します。
お金を払っても、結婚できるかどうかは確実ではない。確実でないものに、継続して高額を払わせる契約です。だから法律が、消費者の側に抜け道を用意している。ここが、この記事全体の土台です。
対象になる線引き — 期間2月超 かつ 金額5万円超
線引きは期間と金額の2つです。条文(法第41条第1項第1号)は「政令で定める期間を超える期間」「政令で定める金額を超える金銭」とだけ書いています。中身を埋めているのは、特定商取引法施行令のほうです。
- 金額 — 第24条第2項が「法第四十一条第一項第一号の政令で定める金額は、五万円とする。」と定めている
- 期間 — 第24条第1項が別表第四の第二欄に飛ばし、その別表第四 七の項(結婚を希望する者への異性の紹介)に「二月」とある
つまり、期間が2月を超え、かつ金額が5万円を超える契約が対象になります。片方だけでは足りません。
「5万円以上」と書いてある解説がある
細かいようで実利のある話を1つ。条文は「超える」です。「以上」ではありません。
国民生活センターの消費者トラブルFAQ(更新日2026年1月19日)は、この要件を「5万円以上」と書いています。
ですが、条文はそう読めません。法第41条第1項第1号は、政令で定める金額を超える金銭と書いています。その金額を、施行令第24条第2項が五万円と定めている。条文どおりなら、5万円ちょうどの契約は対象から外れます。
これは国民生活センターを責める話ではありません。実務では細かすぎて丸められる差です。
ただ、5万円ちょうど、あるいは2か月きっかりの短期プランを勧められたときは注意してください。 ここまで書いたルールが、まるごと働かない可能性があります。
民法の解除や消費者契約法は、それとは別に残ります。ですが「理由なしで抜けられる」という強い権利は外れます。 安いプランほど、この保護からは外れやすい。
判断に迷ったら、消費者ホットライン188に聞けます。郵便番号などを入れると、近くの市区町村や都道府県の消費生活相談窓口に案内されます。土日祝も、施設点検日と年末年始を除いて原則毎日使えます(消費者庁のページで2026年7月31日に確認)。
028日を数える書面は、2枚のうちどちらか
「書面を受け取った日から8日」の書面が、契約の前後で2枚あります。数える相手を間違えると、起算日ごと狂います。
| いつ渡すか | 条文の呼び方 | 8日の起算 | |
|---|---|---|---|
| 法42条1項 | 契約を締結するまでに | 契約の「概要について記載した書面」(概要書面) | 起算しない |
| 法42条2項 | 契約を締結したとき、遅滞なく | 契約の「内容を明らかにする書面」(契約書面) | この書面から数える |
クーリング・オフも中途解約も、条文が指しているのは2項の書面のほうです(法48条1項、法49条1項)。契約前に受け取った説明資料が何ページあっても、そこからは1日も進みません。
見分け方は、中身にある
見分ける手がかりは、渡された時期と、書いてある内容が確定しているかどうかです。
条文がそう作られています。1項の概要書面は「締結するまでに」交付するもの。2項の契約書面は「締結したとき」に遅滞なく交付し、その契約の内容を明らかにする書面です(法42条1項・2項)。
だから契約書面のほうには、契約日・あなたの契約に確定した料金や期間が書かれています。契約前にもらった説明資料には、そこが入りません。
「解約のことが書いてあるか」では見分けられません。 概要書面のほうにも、解除に関する事項の記載は求められています。
そのうえで、契約書面に何を書かなければならないか。法42条2項が7号まで並べていて、そのうち2つ——五号と六号——が解除の話です。 原文で確かめます。
五 第四十八条第一項の規定による特定継続的役務提供契約の解除に関する事項(同条第二項から第七項までの規定に関する事項を含む。)
六 第四十九条第一項の規定による特定継続的役務提供契約の解除に関する事項(同条第二項、第五項及び第六項の規定に関する事項を含む。)
(特定商取引に関する法律 第42条第2項第5号・第6号。e-Gov法令APIで取得した原文を確認、2026年7月31日)
五号がクーリング・オフ、六号が中途解約です。ほかに書くのは、サービスの内容、料金、支払いの時期と方法、提供期間。
裏を返すと、中途解約のことが書かれていない契約書面は、法律が求める記載を欠いていることになります。
紙で受け取っていない場合
法42条4項は、承諾を得たうえで、書面に記載すべき事項を電磁的方法で提供することを認めていて、その場合は書面を交付したものとみなします。到達の時点は5項にあって、使っている電子計算機のファイルに記録がされた時。メールやマイページで受け取ったなら、そこに残っている日時が起算点になります。
承諾を得ずに電子で送られた、あるいはそもそも2項の書面が渡されていない——という場合に何が起きるかは、条文の外の話になります。編集部は、そこまでは書けません。 書面が見つからないなら、それ自体を持って相談してください。
038日以内なら、発した時点で成立する
契約書面を受け取った日から起算して8日を経過するまでは、書面または電磁的記録で契約を解除できます(法第48条第1項)。「起算して」なので、受け取った日を1日目に数えます。
第3項に、実務でいちばん効く一文があります。
前二項の規定による特定継続的役務提供等契約の解除及び関連商品販売契約の解除は、それぞれ当該解除を行う旨の書面又は電磁的記録による通知を発した時に、その効力を生ずる。
(同 第48条第3項。太字は編集部)
相手に届いた時ではなく、こちらが発した時です。 8日目に投函すれば、相手に届くのが9日目でも成立します。期限ぎりぎりで諦めなくていい。そのかわり、いつ発したかを自分の側に残してください。 郵便なら特定記録や簡易書留の控え、電磁的記録なら送信の記録。届いたことの証明とは、別の話です。
なお、事業者がクーリング・オフのことで嘘を言ったり威圧したりして、そのせいで8日のうちに解除しなかった場合は、この8日の期限が働きません(法第48条第1項の括弧書き)。
ただし自動で延びるわけではありません。 数え直しの起点になるのは、その事業者が「解除できる」と書いた書面をあらためて交付し、それを受け取った日です。裏を返せば、その書面が来ないかぎり期限のほうが来ない。何を言われたか思い出せるうちに書き留めておく理由が、ここにあります。
8日以内に解除したなら、受けた分の対価も請求されない
第48条には、8日以内の解除について、あと2つ、直接効くことが書いてあります。
第6項 役務提供事業者又は販売業者は、第一項の規定による特定継続的役務提供等契約の解除があつた場合には、既に当該特定継続的役務提供等契約に基づき特定継続的役務提供が行われたときにおいても、特定継続的役務提供受領者等に対し、当該特定継続的役務提供等契約に係る特定継続的役務の対価その他の金銭の支払を請求することができない。
第7項 役務提供事業者は、第一項の規定による特定継続的役務提供契約の解除があつた場合において、当該特定継続的役務提供契約に関連して金銭を受領しているときは、特定継続的役務の提供を受ける者に対し、速やかに、これを返還しなければならない。
(特定商取引に関する法律 第48条第6項・第7項。項の呼び名は引用者。e-Gov法令APIで取得した原文を確認、2026年7月22日)
第6項です。8日以内に解除したなら、すでに面談やお見合いが行われていたときでも、事業者はその対価その他の金銭の支払を請求できません。「もう1回紹介しましたから、その分だけは」は、この項に反します。
第7項です。同じ解除があった場合に、事業者がその契約に関連して金銭を受け取っているなら、速やかに返さなければなりません。
「払ったものは何でも全部返る」とは、条文は書いていません。
ここは正確に読んでください。返す義務がかかっているのは、その特定継続的役務提供契約に関連して事業者が受け取っている金銭です。「払ったものは何でも全部返る」とは、条文は書いていません。
そして、この2つが効くのは第1項の解除、つまり8日以内のクーリング・オフだけです。8日を過ぎてからやめる場合は、計算が変わります。
048日を過ぎたら——上限は、自分で計算できる
→ この節の計算を、金額を入れるだけで出せるページを作りました(入力はブラウザの中だけで処理します)
やめられること自体は、8日を過ぎても変わりません。「もう始まっているから無理」にはなりません。 条文(法第49条第1項)を見ます。
役務提供事業者が特定継続的役務提供契約を締結した場合におけるその特定継続的役務の提供を受ける者は、第四十二条第二項の書面を受領した日から起算して八日を経過した後…においては、将来に向かつてその特定継続的役務提供契約の解除を行うことができる。
(特定商取引に関する法律 第49条第1項。中略は引用者)
理由は要りません。中途解約する権利が、法律の側で決まっています。 会社が親切だから応じるのではなく、応じる義務があります。
そのとき事業者が請求できる額に、上限がかかります。第2項です。
ここが効きます。契約書に違約金の定めが書いてあっても、この上限を超えては請求できません。 条文が「損害賠償額の予定または違約金の定めがあるときにおいても」と書いているからです。
- サービスが始まる前にやめる — 契約の締結と履行のために通常かかる費用として、政令が決めた額
- サービスが始まったあとにやめる — ①もう受けた分の料金 + ②通常生ずる損害の額として、政令が決めた額
政令の別表に、そのまま書いてある
その政令で定める額が、結婚相手紹介サービスの場合いくらなのか。特定商取引法施行令の別表第四に、そのまま書いてあります。 原文は縦組みの表なので、欄の名前と中身の対にして書き直しています。
七 結婚を希望する者への異性の紹介
特定継続的役務提供の期間:二月
契約の解除によつて通常生ずる損害の額:二万円又は契約残額の百分の二十に相当する額のいずれか低い額
契約の締結及び履行のために通常要する費用の額:三万円
(特定商取引に関する法律施行令 別表第四 七の項。欄の名前は同表の表頭から。e-Gov法令APIで取得した原文を確認、2026年7月22日)
数字に直すと、こうなります。
- サービスが始まる前にやめる — 3万円が上限
- サービスが始まったあとにやめる — もう受けた分の料金 +(2万円 または 残っている契約金額の20% の、安いほう)が上限
ここでいう契約残額とは何か。まだ受けていない分の金額です。
定義は、同じ別表第四の一の項の括弧書きにあります。原文は「当該特定継続的役務提供契約に係る特定継続的役務の対価の総額から提供された特定継続的役務の対価に相当する額を控除した額」。総額から、もう受けた分を引いた額ということです。
「以下この表において」と書かれているので、七の項の契約残額も同じ意味になります。
法第49条第2項から別表第四へは、施行令の2つの条文が橋渡しをしています。
- 施行令第30条 — 法第49条第2項第1号ロの額を、別表第四の第三欄の額とする
- 施行令第31条 — 法第49条第2項第2号の額を、別表第四の第四欄の額とする
3万円と2万円が、法律のどこから政令のどこへ渡って決まるのか。この2条で閉じています。
「低いほう」を計算すると、10万円で頭打ちになる
ここで、「いずれか低い額」という条件が効いてきます。
契約残額の20%が2万円に届くのは残額10万円のときで、それを超えると20%のほうが大きくなる。低いほうを採るのだから、残額が10万円を超えたところで、この部分は2万円で止まります。
| 契約残額 | その20% | 2万円と比べて低いほう=上限 |
|---|---|---|
| 3万円 | 6,000円 | 6,000円 |
| 5万円 | 1万円 | 1万円 |
| 10万円 | 2万円 | 2万円(ここで並ぶ) |
| 20万円 | 4万円 | 2万円 |
| 50万円 | 10万円 | 2万円 |
高額な契約ほど、この部分は相対的に軽くなります。 残りが50万円あっても、②は2万円です。
もう1つ、順番が狂って見える数字があります。開始前の上限が3万円で、開始後の②が2万円。始まる前のほうが1万円高い。
性質が違うものだからです。開始前は「契約を結んで履行するのに通常かかる費用」。開始後は「解除によって通常生じる損害」。同じ「解約料」という言葉でまとめると、この違いが消えます。
もっとも、開始後は①が別に乗ります。合計額は開始後のほうが大きくなるのがふつうです。 3万円と2万円だけを比べても意味がありません。
「契約金額の2割」と「契約残額の2割」は、別のもの
国民生活センターの解説集に、この計算がそのまま争いになっている相談が載っています。
結婚相手紹介サービスに登録し1年近く経ってから退会を申し出ました。会員規約では、中途解約の場合、既払い金や入会金、登録料、紹介料は一切返金されず、解約料として契約金額の2割を支払うことになっています。解約料が高額すぎるのではないでしょうか。
(国民生活センター「高額な解約料を請求する結婚相手紹介サービス」2009年2月27日公表・2016年9月28日更新。2026年7月31日、編集部で確認)
この規約は、2か所で条文とすれ違っています。
1つは「契約金額の2割」。法律が20%を掛けるのは契約残額——まだ受けていない分です。
すでに1年活動していれば、残額は契約金額よりずっと小さくなります。「金額」と「残額」は一文字しか違いませんが、掛ける相手が違います。
しかも、その20%と2万円を比べて安いほうを採ります。上の表のとおりです。
もう1つは「一切返金されず」のほう。これは次の節で扱います。
同じルールが、3通りに書かれている
この上限は、条文・消費者庁・国民生活センターの3か所に書いてあります。3つとも同じことを言っているのですが、書き方が違い、そのうち1つは2通りに読めます。
国民生活センターの解説ページの注は、こうです。
役務(サービス)提供開始後は、提供された役務の対価相当額プラス2万円、または契約残額の2割に相当する額のいずれか低い額(49条2項1号)の合計額。
(同ページ。2026年7月31日、編集部で確認)
この一文は、「いずれか低い額」がどこにかかるかで2通りに読めます。
- (対価相当額 + 2万円)と(契約残額の2割)を比べる
- (2万円)と(契約残額の2割)を比べて、それに対価相当額を足す
どちらで読むかで、金額はまるで変わります。
条文のほうは、迷いようがありません。イとロが別々の項目として立っていて、請求できるのは「次の額を合算した額」。比べるのはロの中だけです。
消費者庁のガイドも同じでした。aとbの合計として説明し、上限が付くのはbのほうだと表にしています(2026年7月31日、編集部で確認)。
行政の一文が短いのは、要約だからです。 短くまとめれば係り受けは曖昧になることがある。金額の話をしているときに、そこを一文の読みに預けなくていい——条文が別々の項目として書き分けている、という事実のほうが強いからです。
法律が上限を決めていない部分
ここまでが、計算できる部分です。そして、計算できない部分が残ります。
第49条第2項第1号のイ——「提供された特定継続的役務の対価に相当する額」。条文はこれだけしか書いていません。金額の上限も、何がここに入るかも、書いていない。
実際の請求で問題になるのは、たいていここです。入会金、登録料、紹介料、活動サポート費。これらが「提供された役務の対価」なのか、それとも別の性質のものなのか。
条文の文言だけからは、決まりません。 決まらない、というのがここでの結論です。どちらが正しいとは書きません。裁判例にあたっていないからです。
さきほどの相談にあった「入会金、登録料、紹介料は一切返金されず」が、まさにこの場所です。規約にそう書いてあることは、そう決まったことを意味しません。かといって、書いてあることが直ちに無効だと編集部が言えるわけでもない。
国民生活センターの回答も、金額の当否には踏み込まず、手順を示しています。精算方法が書かれた書面を業者からもらい、特商法に定められた方法で精算されているか確認すること。
同じページには、「解約料が高い」「返金額が少ない」といった精算方法についての苦情が多く寄せられている、とも書かれています。
この上限は「事業者が請求できる額の上限」であって、「返ってくる額」ではありません。
もう1つ、誤解しやすいところ。この上限は「事業者が請求できる額の上限」であって、「返ってくる額」ではありません。
そして、サービス開始後の上限はすでに受けた分の料金を、その中に含んだ合計です。半年活動してやめたら、その半年分は上限の内側で数えられます。
別枠で上乗せされるわけではありません。ただし、戻ってこない額であることに変わりはありません。
8日以内なら対価そのものを請求されない(法第48条第6項)のと比べると、8日という線の前と後で、扱いが変わっているのが分かります。
05この上限が働かない契約がある — 割賦販売
例外があります。 割賦販売にあたる形で提供・販売される場合、ここまで計算した上限は働きません。
ここは言葉に注意が要ります。 条文の言葉は「割賦販売」で、日常語の「分割払い」と同じではありません。 支払回数を分けた契約がすべて割賦販売にあたる、とは限らないということです。
法第50条第2項が、法第49条第2項・第4項・第6項を「適用しない」と書いているからです。条文はこうです。
第四十九条第二項、第四項及び第六項(前条第三項において準用する場合を含む。)の規定は、特定継続的役務又は関連商品を割賦販売により提供し又は販売するものについては、適用しない。
(特定商取引に関する法律 第50条第2項。この条の見出しは「適用除外」です。e-Gov法令APIで取得した原文を確認、2026年7月22日)
では、代わりに何が働くのか。この記事では調べていません。 何が割賦販売にあたるかも、特定商取引法の側には書かれていません(割賦販売法の側の定義になります)。
また、特商法49条の上限が外れても、割賦販売法の側に損害賠償額の制限が置かれている場合があります。 そちらも編集部は確認していません。「上限が無くなる」ではなく「この章の上限は使えない」と読んでください。
支払回数を分ける契約を勧められたときは、契約書を持って消費者ホットライン188か、お住まいの消費生活センターで確認してください。
25万円を超える契約で分割払いが勧められる場面は、実際にあります。上限の話と支払方法の話は、別々に聞こえて、条文の上ではつながっています。
06指輪と真珠が、条文に書いてある
特定商取引法には関連商品という枠があります。サービスそのものではなく、サービスに関連して売られる商品のことです。どのサービスにどの商品が当たるかは、政令が指定しています。
結婚を希望する者への異性の紹介については、施行令の別表第五(第二十九条関係)の第五号がこう定めています。
五 別表第四の七の項に掲げる特定継続的役務にあつては、次に掲げる商品
イ 真珠並びに貴石及び半貴石
ロ 指輪その他の装身具
(特定商取引に関する法律施行令 別表第五(第二十九条関係)第五号。e-Gov法令APIで取得した原文を確認、2026年7月22日)
真珠、貴石、半貴石、指輪その他の装身具。 政令が名指ししています。結婚相談所で宝石が売られる場面を、法律のほうが先に想定しているということです。
身につけたあとでも、8日以内なら外れない
8日以内にサービスの契約をクーリング・オフしたとき。その事業者が関連商品の販売や仲介もしているなら、関連商品の販売契約も同じ扱いになります(法第48条第2項)。
その関連商品とは、施行令第29条第1項が別表第五の商品だとしているもの。真珠・貴石・半貴石・指輪その他の装身具が、ここに入ります。
あわせて、こうなります。
- 解除にともなう損害賠償や違約金は請求できない(法第48条第4項)
- 商品の引取りにかかる費用は、売った側の負担(法第48条第5項)
ただし、この条には例外のただし書があります。使ったり一部を消費したりすると値打ちが大きく下がる商品として政令が指定したものを使ってしまった場合は、外れる。
指輪や宝石を身につけたあとでも、クーリング・オフの対象から外れません。
では、指輪や宝石はその指定に入るのか。入りません。指輪や宝石を身につけたあとでも、クーリング・オフの対象から外れません。
法第48条第2項のただし書は、使ったり一部を消費したりすると値打ちが大きく下がる商品として政令が定めたものを、対象から外しています。
その対象を、施行令第29条第2項が別表第五の第一号イ・ロと第二号に限定しています。中身はこれだけです。
- 第一号イ・ロ(エステの関連商品) — 人が摂取する動植物の加工品(医薬品を除く)/化粧品・石けん(医薬品を除く)・浴用剤
- 第二号(美容医療の関連商品) — 人が摂取する加工品/化粧品/歯牙の漂白に用いるマウスピースと漂白剤/美容を目的とする医薬品・医薬部外品
結婚相手紹介サービスの関連商品である第五号(真珠・貴石・半貴石/指輪その他の装身具)は、そこに入っていません。
つまり、指輪をはめてしまったからもう解約できない、という理屈は、この品目については条文上立ちません。(いずれも、8日以内にクーリング・オフした場合の話です)
8日を過ぎると、指輪の話は「返す・返さない」の計算になる
8日を過ぎたあとは、同じ「解除できる」でも中身が変わります。定めているのは法第49条第5項・第6項です。
まず第5項。8日を過ぎてからの中途解約で役務の契約が解除された場合に、その事業者が関連商品の販売や、その代理・媒介をしているなら、受ける側は関連商品の販売契約のほうも解除できます。 ここまでは、8日以内と同じ方向です。
変わるのは、そのあとの計算です。第6項が、関連商品を売った者が請求できる額に上限をかけています。
損害賠償額の予定や違約金の定めがあっても、次の額に法定利率の遅延損害金を加えた金額を超えては請求できない、という書き方です。
当該関連商品が返還された場合 — 当該関連商品の通常の使用料に相当する額(当該関連商品の販売価格に相当する額から当該関連商品の返還されたときにおける価額を控除した額が通常の使用料に相当する額を超えるときは、その額)
当該関連商品が返還されない場合 — 当該関連商品の販売価格に相当する額
当該契約の解除が当該関連商品の引渡し前である場合 — 契約の締結及び履行のために通常要する費用の額
(特定商取引に関する法律 第49条第6項第一号〜第三号。原文は「場合」と「額」を対にした列の形なので、対のまま書き直しています。中身は原文どおり。e-Gov法令APIで取得した原文を確認、2026年7月22日)
第一号の括弧書きが、実質的な答えです。 指輪を返しても、請求できる額が「通常の使用料」で止まるとは限らない。買った値段と、返したときに付く価額の差が通常の使用料を超えるなら、その差額まで請求できます。 差が大きいほど、請求できる額は上がる。
そして第二号。返さなければ、販売価格に相当する額まで請求できます。
第三号は、まだ引渡しを受けていない場合で、契約の締結及び履行のために通常要する費用の額です。ここには政令の指定がありません。 役務のほうの3万円(別表第四 七の項)とは別の話なので、混ぜないでください。上限が無いという意味ではありません。額が政令で決め打ちされていない、という意味です。
この上限にも、同じ例外が掛かります。 法第50条第2項が適用しないものとして挙げているのは、法第49条第2項・第4項・第6項です。割賦販売により提供・販売するものについては、ここも働きません。
面談や成婚後の流れで宝石や指輪の購入を勧められたら、確認することは2つです。
- その商品は、役務の契約と別の契約になっているのか
- 関連商品として扱われるのか(=契約書面にその記載があるか)
2つ目には、条文の裏があります。契約書面に何を書くかを定めた法第42条第2項第1号は、サービスを受けるときに購入する必要のある商品があるなら、その商品名まで書くよう求めています。
「関連商品として扱われますか」は、こちらのお願いではありません。書面の記載事項の話です。
条文より不利な特約は、無効になる
法第49条には、もう1項あります。
前各項の規定に反する特約で特定継続的役務提供受領者等に不利なものは、無効とする。
(特定商取引に関する法律 第49条第7項。e-Gov法令APIで取得した原文を確認、2026年7月22日)
前各項は、第1項から第6項までを指します。中に入るのはこれらです。
- 中途解約できること(第1項)
- そのときに事業者が請求できる額の上限(第2項)
- 8日を過ぎても関連商品の販売契約を解除できること(第5項)
- そのときに関連商品を売った者が請求できる額の上限(第6項)
これらに反する特約は、受け取る側に不利なものであれば無効になります。
ここも正確に読んでください。無効になるのは、この条の規定に反し、かつ受け取る側に不利な特約だけです。「契約書に何が書いてあっても無効」ではありません。
条文より受け取る側に有利な定めなら、そのまま効きます。
そして、この項が無効にするのは特約です。法律自身が「適用しない」と定めている場合(5節の割賦販売)まで、この項で戻るわけではありません。
クーリング・オフの側にも、同じ文言の規定が置かれています(法第48条第8項)。
07やめると決めたあと、順番にすること
前払なら、財務の書類を見る道がある
手順の前に、1つだけ。返ってくるはずの金額を計算したところで、相手に払う力がなければ、その計算は紙の上で終わります。
前払で5万円を超える金銭を受け取る取引をする事業者は、その業務及び財産の状況を記載した書類を事務所に備え置く義務があります(法第45条第1項。5万円という金額は施行令第27条が定めています)。そして、その前払取引の相手方は、書類の閲覧を求めることができ、事業者の定める費用を払えば謄本や抄本の交付も求められます(同条第2項)。
使う人はほとんどいないと思います。ただ、数十万円を先に預ける相手の財務を見る道が、法律の側に用意されているというのは知っておいていい。
なお、条文がこの請求権を与えているのは「前払取引の相手方」です。契約前の見込み客が同じ請求をできるかは、条文の文言からは読み取れませんでした(解釈を示した公的資料には、今回あたっていません)。
書類に何をどこまで書くかも「主務省令で定めるところにより」で、省令にはあたっていません。
手順
条文の順番どおりに並べると、やることは7つです。
- 法42条2項の書面を探す。 契約前にもらった概要書面ではなく、契約したあとに渡された、解除について書かれているほうです(2節)。受け取った日を特定します。すべての起算点がここにあります。
- 8日以内かを数える。 受け取った日を1日目として数えます。内側なら3へ、外側なら4へ。
- 書面または電磁的記録で、解除の通知を発する。 発した時に効力が生じるので、発した日付が自分の側に残る形で出します。届いたことの証明ではなく、出したことの証明です。
- 8日を過ぎているなら、中途解約を申し出る。 理由の説明は条文が求めていません。同時に、請求額の内訳を書面で出してもらいます。
- 内訳を、①と②に仕分ける。 提供済みの役務の対価にあたる部分(①)と、違約金・解約料にあたる部分(②)を分けます。名目ではなく、中身で分けます。
- ②が上限を超えていないか計算する。 契約残額を出して、その20%と2万円を比べ、低いほうと突き合わせる。超えている部分は、規約に書いてあっても法49条7項で無効です。ただし割賦販売にあたる契約なら、この計算自体が働かない場合があります(5節)。
- 折り合わないときは、消費生活センターに相談する。 消費者ホットラインは188。
5と6が、この記事でいちばん実務的なところです。請求書が「解約金 ○○円」の一行だけで来たら、それは仕分けができません。 内訳を求めるのは、値切るためではなく、上限がかかる部分を特定するためです。
08「相手がやめるとき」は、条文に書かれていません
ここまでは全部、あなたがやめるときの話でした。法第49条の主語は「特定継続的役務の提供を受ける者」で、解除するのはこちら側です。
では、相手のほうが先にやめたら。
特定商取引法の原文に、「事業の廃止」「解散」「破産」「履行不能」という語は一度も出てきません。 e-Gov法令APIで取得した全文(273,302字)を検索して、いずれも0件でした。近い語では「承継」が1件あるだけです(2026年8月7日確認)。
条文が用意しているのは、こちらから解除する場合の精算だけです。相手がサービスをやめる場合にどうなるかは、条文ではなくその事業者が出す告知に従うことになります。
実際に起きた例が、2026年にあります
ゼクシィ縁結びエージェント。2026年6月30日をもって、サービスを終了しました。
「ゼクシィ縁結びエージェント」は、2026年6月30日をもちまして、サービスを終了させていただきます。
(同サービス公式サイトのお知らせ。2026年7月6日時点のインターネットアーカイブから、2026年8月7日に編集部が取得)
同じ告知に、問い合わせの受付期限が2つ並んでいました。
| 窓口 | 受付期限 |
|---|---|
| 返金や手続きに関するお問い合わせ | 2026年6月20日 |
| お客様相談室・サービスデスクのお問い合わせ | 2026年7月20日 |
返金の窓口が、サービスの終了より10日早く閉まっています。 6月25日にまだ活動していた人が、そこで返金を相談しようと思っても、受付は終わっていたことになります。
そして2026年8月7日の時点で、このサービスの公式ドメインはドメインパーキングを返します。告知そのものが、生きたウェブから消えています。 読めるのはアーカイブだけです。
だから終了の告知を見たとき、先に探すのは終了日ではありません。返金の受付期限のほうです。 終了日より前に置かれていることがあります。
09休会は、法律の外にある制度です
やめるかどうかを決めきれないとき、多くの人が先に見るのは「休会」です。席は残したまま、活動だけ止める。中間の選択肢に見えます。活動の流れのどこに休会が来るかは流れの記事に置いてあります。ここで見るのは、休会そのものの条件と、やめることとの損得です。
特定商取引法にも施行令にも、「休会」という語は一度も出てきません。 e-Gov法令APIで取得した原文からタグを除いた特商法273,302字と施行令96,611字を検索して、「休会」「休止」「中断」「一時停止」「再開」のいずれも0件でした(2026年8月10日確認)。
つまり休会は、法律が用意した仕組みではありません。各社が自分で作ったサービスです。 だから条件は会社ごとに割れます。どこまで割れるのかを、公式ページで数えました。
5社の公式ページを開いて、条件を並べた
| 会社 | 休会中に払うお金 | 休める長さ | 申し出の締切 |
|---|---|---|---|
| IBJメンバーズ | 0円(「活動休会中は月会費を頂きません」) | 1か月単位で最長3か月 | 記載なし |
| ツヴァイ | 月会費のうち運営費のみ(金額の記載なし) | 1回につき最長1か月・累計6か月まで | 記載なし |
| オーネット | 2,200円(税抜価格2,000円) | 会員期間1年につき最大12か月 | 記載なし |
| スマリッジ | 4,400円(通常の月会費は9,900円) | 1か月単位(上限の記載なし) | 毎月15日まで/翌月1日から |
| エン婚活エージェント | 7,150円(通常の月会費は16,500円) | 記載なし | 毎月25日まで/翌月1日から |
| パートナーエージェント | 自社サイトの比較表に「休会制度」という項目名はありますが、費用・期間・締切の条件は公開ページで見つけられませんでした | ||
(各社の公式ページを編集部が2026年8月10日に確認。金額はすべて税込です。ツヴァイの「運営費」は金額が公開されていません)
「記載なし」は、公式ページに書いていないという意味です。制度が無いという意味ではありません。
同じ「休会」の2文字で、3か月休んだときに出ていくお金は0円から21,450円まで開きます。 休める長さも、3か月と12か月では4倍違います。3か月という物差しは、比べるためにこちらで揃えたものです(エン婚活エージェントに月数の上限は書かれていません)。
休んでいる間も、契約は進みます
スマリッジの公式ページには、こう書いてあります。
休会は1ヶ月単位とし、休会期間中も会員期間とみなします。
休会中の月会費を払っていても、契約の残り時間は減っていきます。1年の契約で3か月休めば、実際に活動できるのは9か月です。オーネットが「会員期間1年間につき最大12か月」と書いているのも、休止が会員期間の外に出るわけではないという意味に読めます。
それでも、やめる権利は消えません
休会は解除ではありません。契約は続いています。だから1節の条件を満たす契約なら、休会中でも中途解約はできます。
将来に向かつてその特定継続的役務提供契約の解除を行うことができる。
(特定商取引に関する法律 第49条1項の末尾。「向かつて」は原文の表記です)
休会の条件は会社が決めた文章ですが、こちらは条文が置いた権利です。休会を勧められて断りにくいと感じたときは、その2つが別のものだと思い出してください。
「今月から休みたい」は、たいてい間に合いません
スマリッジは毎月15日、エン婚活エージェントは毎月25日が申し出の締切で、休会が始まるのはどちらも翌月1日からです。月末に決めた人は、その月ぶんの月会費を払い切ることになります。
日割りもありません。エン婚活エージェントの料金ページには「※日割り計算などはございません。」とあります。スマリッジは、月の途中で活動を再開した場合も日割りではなく通常の月会費9,900円の請求になると書いています。
もう一つ、スマリッジには条件があります。「進行中の案件がある場合は休会を承ることはできません。」 お見合いや交際が動いている最中には休めない、ということです。
休会と中途解約、どちらが安いか
比べるものを間違えないでください。中途解約で請求されうるのは、4節のとおり2つです。
- イ すでに提供された役務の対価に相当する額
- ロ 解約によって通常生ずる損害の額(開始後の上限は、2万円か契約残額の20%の低いほう)
イは、休会しても解約しても変わりません。 受けた分の対価だからです。休会と解約で差が出るのは、ロと、あとで戻るときにもう一度かかるお金だけです。
数字を置きます。月会費16,500円の会社で3か月休むなら、休会費は7,150円×3か月=21,450円。同じ3か月を解約して過ごすなら、ロは多くても2万円です(契約残額が10万円を超えている場合。4-2)。ここだけを見ると、ほとんど同じ額になります。
差がつくのはそのあとです。解約して戻るときは、入会金や登録料をもう一度払うことになります。だから戻る前提なら、休会費のほうが安く済むことがあります。 逆に、戻らないかもしれないなら、休会費は席を押さえておくためだけに出ていくお金です。
自分の契約で数えるなら、金額を3つ入れれば上限が出る計算ツールを置いてあります。
休会は安全な中間に見えます。ただ、法律が守っているのは解約のほうだけです。 休会について書いてあるのは、その会社の文章だけ。だから契約する前に、休会費・上限の月数・申し出の締切の3つを聞いておくと、迷ったときに選べる幅が変わります。
よくある質問
途中でやめること自体を、断られることはありますか
条文は、役務の提供を受ける者が「将来に向かつて」解除を行うことができる、と書いています(法49条1項)。事業者の同意を条件にする文言はありません。そして法49条7項が、これに反する不利な特約を無効としています。 実際に断られた場面でどう進めるかは、内訳の話と同じで、消費生活センターの領域です。
入会金は戻ってきますか
編集部は断定できません。 クーリング・オフの期間内であれば、法48条6項と7項から、その契約に関連して事業者が受け取っている金銭は返還されることになります。8日を過ぎたあとは、入会金が「提供された役務の対価」(①)に当たるかどうかで変わり、条文の文言だけからは一義に決まりません。 4節に書いたとおりです。
「途中解約は一切できない」と規約に書いてありました
法49条7項は、同条の規定に反する特約で不利なものを無効としています。規約に書いてあることが、そのまま効くとは限りません。 ただし、その契約が第4章の対象(2月超・5万円超)であることが前提です。1節で確かめてください。
メールで解除を伝えても大丈夫ですか
法48条1項は「書面又は電磁的記録により」としています。発した時に効力が生じるので(同3項)、送信の記録が残る形にしてください。相手が読んだかどうかは、条文の要件ではありません。
8日を過ぎてしまいました
中途解約(法49条)に移ります。提供済みの分は払うことになりますが、違約金にあたる部分には上限がかかります。 なお、解除に関することについて事実でないことを告げられた、あるいは威迫されて困惑したために8日の間に解除しなかった場合は、法48条1項の括弧書きが働いて8日の期限がずれます。起点は、事業者が「解除できる」と書いた書面をあらためて交付し、それを受け取った日です。その書面が来ていないなら、期限はまだ来ていません。3節に書いたとおりです。
クーリング・オフの8日は、契約した日から数えますか
いいえ。法42条2項の書面を受領した日から起算します。 契約日・申込日・支払日ではありません。書面を受け取った日を1日目として数えます。契約前にもらう概要書面(同条1項)からは数えません。2枚の見分け方は2節にあります。
最後に
この記事で確定できたのは、請求額のうち上限がかかるのはどの部分か、という一点です。②には2万円か契約残額の20%の低いほうという天井があり、残額が10万円を超えればそれは2万円で止まる。①には天井がない。そして規約が「契約金額の2割」と書いていたら、それは条文が言っている「契約残額」ではありません。
入会前にこれを読んでいるなら、面談で聞くことが1つ増えます。中途解約したとき、請求額の内訳はどう分かれるのか。 契約する前なら、答えを聞いてから決められます。
契約の全体像——会員はどこから来るのか、料金の実額、成婚率の読み方——は、選び方の記事にまとめてあります。この記事は、そのうち「抜けられるか」だけを深く掘ったものです。
→ 結婚相談所の選び方——契約と料金の仕組みで絞る3つのチェック点
まだ資料請求の段階なら、届く資料は法定の書面ではないことを先に知っておくほうが早いはずです。この記事で数えた8日の起点は、その資料ではありません。
→ 結婚相談所の資料請求のあとに何が起きるか——法律と送客の仕組みから
「成婚」の定義が契約条項でもあるという話は、成婚率の記事にあります。どの時点を成婚と呼ぶかは、成婚料が発生する時点の違いとして返ってきます。
→ 結婚相談所の成婚率——分子・分母・期間が会社ごとに違う数字の読み方
入会の書類でつまずきやすいのは独身証明書です。コンビニでは取れません。
→ 独身証明書の取り方——結婚相談所に出す前に。原則は本籍地の市区町村、コンビニでは取れない
ここから下は広告のリンクです。 7節の4番——請求額の内訳を出してもらう——は、リンク先の相談所にも、それ以外のどこにも同じように使えます。押す前に、この記事がリンクしている相談所には、店舗の無い地域があることを書いておきます。公式サイトの店舗一覧に出ているのは16店で、全国ではありません。 どの県に店舗があるかの一覧と、報酬が発生する時点(申込みの瞬間ではなく、そのあと30日以内の本人確認や来店が条件になっていること)は、選び方の記事の広告の節に書いてあります。編集部は、このカウンセリングを受けていません。
この記事が根拠にした原典
読者が開ける出典
| 内容 | 原典 | 確認の仕方 |
|---|---|---|
| 特定継続的役務提供の定義/期間・金額の要件/対象役務の性格(心身・身上の目的/実現が確実でないこと) | 特定商取引に関する法律 第41条1項1号・2項/同施行令 第24条・第25条 | e-Gov法令APIの原文XML。2026年7月22日および7月31日に取得 |
| 結婚相手紹介サービスが第4章の対象であること(別表第四の七の項「結婚を希望する者への異性の紹介」) | 特定商取引に関する法律施行令 別表第四 | 同上。別表の全7項を取得し、七の項の第二欄〜第四欄を原文で確認 |
| 書面が2枚あること(1項=概要書面/2項=契約書面)/2項の記載事項のうち五号・六号が解除に関する事項であること/1号が商品名まで求めていること/電磁的方法による提供と到達時点 | 特定商取引に関する法律 第42条1項・2項・4項・5項 | 同上。2項五号・六号は原文を引用 |
| クーリング・オフの日数・方法・発信主義・違約金請求の禁止・提供済み役務の対価請求の禁止・受領済み金銭の返還・不利な特約の無効 | 特定商取引に関する法律 第48条1項〜8項 | 同上。3項・6項・7項は原文を引用 |
| 中途解約権/請求できる額の内訳(①②)/関連商品販売契約の解除と、その上限の3類型/不利な特約の無効 | 特定商取引に関する法律 第49条1項・2項・5項・6項・7項 | 同上。1項・6項各号・7項は原文を引用 |
| ②の上限「2万円又は契約残額の百分の二十に相当する額のいずれか低い額」と、開始前の「三万円」/法から政令への中継ぎ | 特定商取引に関する法律施行令 別表第四の七の項(第三欄・第四欄)/同 第30条・第31条 | 同上。「契約残額」の定義は同表一の項の括弧書きにあり、七の項はそれを参照しています |
| 割賦販売による場合に法49条2項・4項・6項を適用しないこと | 特定商取引に関する法律 第50条第2項 | 同上。原文を引用 |
| 関連商品の指定(真珠並びに貴石及び半貴石/指輪その他の装身具)/使用・消費による除外の対象が別表第五の一号イロと二号に限られること | 特定商取引に関する法律施行令 別表第五(第29条関係)第五号/同 第29条1項・2項 | 同上。第五号は原文を引用 |
| 前払取引の相手方による書類の閲覧請求権・謄本/抄本の交付請求権/「前払取引」が5万円超であること | 特定商取引に関する法律 第45条1項・2項/同施行令 第27条 | 同上 |
| 7役務それぞれの期間・金額の要件/中途解約時の上限をa+bの合計として説明していること | 消費者庁「特定商取引法ガイド」特定継続的役務提供のページ | 編集部が2026年7月31日に取得 |
| 相談事例の「質問」原文(会員規約の「契約金額の2割」「一切返金されず」)/解説の内容/注の一文 | 国民生活センター「高額な解約料を請求する結婚相手紹介サービス」(2009年2月27日公表・2016年9月28日更新) | 編集部が2026年7月31日に取得・原文引用。公表から17年、更新から10年が経過したページです |
| 「5万円以上」という表記(条文の「超える」との差) | 国民生活センター 消費者トラブルFAQ(更新日2026年1月19日) | 編集部が2026年7月22日に取得 |
| 消費者ホットラインの番号(188)・案内の仕組み・利用できる日 | 消費者庁 消費者ホットラインのページ | 編集部が2026年7月31日に取得 |
| サービス終了日(2026年6月30日)と、返金・手続きの問い合わせ受付期限(2026年6月20日)/お客様相談室の受付期限(2026年7月20日) | 「ゼクシィ縁結びエージェント」公式サイトのお知らせ | 編集部が2026年8月7日に取得。公式ドメインは同日時点でドメインパーキングを返すため、2026年7月6日時点のインターネットアーカイブから原文を確認しました |
| 特定商取引法に「事業の廃止」「解散」「破産」「履行不能」の語が無いこと(いずれも0件、「承継」のみ1件) | 特定商取引に関する法律 全文 | e-Gov法令APIで取得した原文XMLからタグを除いた273,302字を全文検索。2026年8月7日確認 |
| 特定商取引法・同施行令に「休会」「休止」「中断」「一時停止」「再開」の語が無いこと(いずれも0件) | 特定商取引に関する法律 全文/同施行令 全文 | 同じ原文XMLからタグを除いた273,302字と96,611字を全文検索。2026年8月10日確認 |
| 休会中の月会費(0円/運営費のみ/2,200円/4,400円/7,150円)・休める月数の上限(3か月/累計6か月/会員期間1年につき12か月)・申し出の締切(15日/25日)・「休会期間中も会員期間とみなします」・「進行中の案件がある場合は休会を承ることはできません」・再開時に日割りをしないこと | IBJメンバーズ「よくあるご質問」/ツヴァイ「よくあるご質問」/オーネット「ここが知りたいQ&A 料金」/スマリッジ「よくあるご質問(入会後について)」/エン婚活エージェント「よくあるご質問」および料金ページ | 編集部が2026年8月10日に各社の公式ページで確認。金額はすべて税込(オーネットのみ公式が税抜価格2,000円を併記) |
取れなかったもの(埋めていません)
- 裁判例。 入会金・登録料が「提供された役務の対価」に当たるかを判断した判決文にあたっていません。4節で断定しなかったのは、これが理由です
- 何が「割賦販売」にあたるか。 特定商取引法の側には定義が書かれていません。割賦販売法にはあたっていないため、5節では「上限が働かない場合がある」までしか書いていません。代わりに何が働くかも調べていません
- 各社の会員規約の解約条項。 特定の結婚相談所の規約は1社も取得していません。4節で引いた規約は、国民生活センターのページに相談として書かれているものです
- 相談件数の統計。 結婚相手紹介サービスの中途解約に関する年度別の相談件数は取得できていません。国民生活センターのページには「苦情が多く寄せられています」という記述がありますが、件数の裏づけは取っていません
- 主務省令。 法42条2項の書面の記載事項も、法45条1項の「業務及び財産の状況を記載した書類」の様式・記載事項も、省令で定めるとされています。今回、省令にはあたっていません。 2節と7節で書いたのは法律の条文までです
- 関連商品を返したときに付く価額。 指輪や宝石の買取価格の実勢は調べていません。6節の第一号の計算が実際にいくらになるかは書けません
- 「電磁的記録」が条文に入った改正の年。 改正の経緯にあたっていないため、現行条文の文言だけを書いています
- パートナーエージェントとサンマリエの休会条件。 前者は自社サイトの比較表に「休会制度」という項目名がありますが、費用・期間・締切を書いたページに行き着けませんでした。後者は公式のよくある質問に休会の記載を見つけられていません。9節の表を6社目・7社目に広げられなかったのは、この2社が公開していないからです
- ツヴァイの「運営費」の金額。 活動休止中にかかるのが月会費のうち運営費のみであることは公式に書かれていますが、その額は公開されていません。9節の表で金額を空けているのはそのためです
この記事は法令の条文と行政機関の公表資料に基づく一般的な整理であって、個別の契約についての法的助言ではありません。
条文は特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)および特定商取引に関する法律施行令(昭和51年政令第295号)を、e-Gov法令APIから取得した原文XMLによります。
実際に解約を進めるときは、契約書面と請求の内訳を持って、消費生活センター(消費者ホットライン188)にご相談ください。
確認の粒度をどう分けているか、書かないと決めているものは何か——当サイトの作り方は運営者情報にまとめています。