結婚相談所の返金——どの場面で、何が戻ると書いてあるのか
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- 特定商取引法 第48条・第49条の原文(e-Gov法令APIの原文XML)
- エン婚活エージェント「全額返金保証規約」の第1項〜第5項(2026年7月1日改定)
- 5社の公開ページにある返金の定め(中途解約・成婚料・再入会)
- 国民生活センターに残っている返金トラブルの相談事例
- 裁判例。入会金が「提供された役務の対価」に当たるかを判断した判決文にあたっていません
- 各社の会員規約の全文(1社も取得できていません)
- 消費者契約法。「返金しない」という特約が無効になるかは書けません
- 実際に返金された金額の実績。編集部は当事者ではありません
「返金」で調べると、いろいろな言葉が並びます。返金保証、返金制度、中途解約の返金、入会金の返金。同じ「返金」の2文字ですが、根拠がまるで違います。
片方は条文が決めていて、もう片方は各社が自分で作った特典です。混ぜると、戻ると思っていたものが戻りません。4つに分けて、それぞれ何が戻ると書いてあるかを読みました。
01先に結論——戻る場面は4つで、効き方が全部違います
- 8日以内(クーリング・オフ) — 条文が「速やかに返還しなければならない」と書いています。すでに面談やお見合いが行われていても、その対価を請求されません(02節)
- 8日を過ぎた中途解約 — 条文が決めているのは請求できる額の上限で、返金額そのものではありません。戻るのは、まだ提供されていない分(03節)
- 「全額返金保証」 — 返金の話ではありません。3ヵ月お見合いが1件も成立しなかったときの特典で、対象は登録料と3ヵ月分の月会費。除外事由が7つあります(04節)
- 成婚料 — 戻る側の定めを、5社の公開ページに1つも見つけられませんでした(05節)
入会金が戻るかどうかは、この記事では断定しません(06節)。理由もそこに書きました。
028日以内なら、受け取った金銭は返ってくる
契約書面を受け取った日から起算して8日を経過するまでは、書面または電磁的記録で契約を解除できます(特定商取引法 第48条第1項)。この解除にだけ、返金について直接書いた項が2つ付いています。
第6項 役務提供事業者又は販売業者は、第一項の規定による特定継続的役務提供等契約の解除があつた場合には、既に当該特定継続的役務提供等契約に基づき特定継続的役務提供が行われたときにおいても、特定継続的役務提供受領者等に対し、当該特定継続的役務提供等契約に係る特定継続的役務の対価その他の金銭の支払を請求することができない。
第7項 役務提供事業者は、第一項の規定による特定継続的役務提供契約の解除があつた場合において、当該特定継続的役務提供契約に関連して金銭を受領しているときは、特定継続的役務の提供を受ける者に対し、速やかに、これを返還しなければならない。
(特定商取引に関する法律 第48条第6項・第7項。項の呼び名は引用者。e-Gov法令APIで取得した原文を確認、2026年7月22日)
第6項は請求される側を止めます。すでに面談やお見合いが行われていたときでも、その対価を請求できません。「もう1回紹介しましたから、その分だけは」は、この項に反します。
第7項は返す側に義務をかけます。ただし正確に読んでください。返す義務がかかっているのは、その契約に関連して事業者が受け取っている金銭です。「払ったものは何でも全部返る」とは、条文は書いていません。
そしてこの2つが効くのは、8日以内の解除だけです。 8日をどこから数えるか、渡される書面が2枚あるうちどちらが起点かはやめるときの記事の2節に分けました。
038日を過ぎたら——戻るのは、まだ提供されていない分
8日を過ぎると、条文の作りが変わります。法49条が決めているのは「事業者が請求できる額の上限」であって、「返す額」ではありません。
請求できるのは2つです。
- イ すでに提供された役務の対価に相当する額
- ロ 解約によって通常生ずる損害の額(提供開始後の上限は、2万円か契約残額の20%のいずれか低いほう。開始前は3万円)
前払いした額から、この2つを引いた残りが戻る、という形になります。だから「いくら戻るか」は、前払いした額と、どこまで提供されたかで決まります。金額を3つ入れれば上限が出る計算ツールを置いてあります。
「未活動分を返金」と書いている会社があります
IBJメンバーズは、中途退会のときの扱いをこう書いています。
はい。また、IBJメンバーズでは入会時にお支払いいただいた活動サポート費のうち、未活動分を返金いたします。
(株式会社IBJ「IBJメンバーズ よくある質問」。2026年8月14日、編集部が画面で確認)
「未活動分」という言い方が、上のイと同じ考え方です。 受けた分は対価、受けていない分は戻る。ツヴァイは退会時の手数料・違約金を0円と書いており、オーネットは注意事項に法定の上限をそのまま載せています。
04「全額返金保証」は、活動が始まらなかったときの保証です
名前がいちばん強いのに、働く場面がいちばん狭いのがこれです。エン婚活エージェントのよくあるご質問には、こう書いてあります。
積極的に3ヶ月間ご活動いただいたにも関わらず、「コンタクトの成立」に至らなかった場合に、登録料と3ヵ月分の月会費を全額ご返金しております。
(エン婚活エージェント株式会社「よくあるご質問」Q63。2026年8月14日、編集部が画面で確認。スマリッジにも同旨の保証があります)
婚活がうまくいかなかったときの保証ではありません。 お見合いが1件も成立しなかったときの保証です。正式な条件は別に「全額返金保証規約」があるので、そちらを読みました。
規約が定める対象は、登録料と3ヵ月分の月会費
利用契約成立月の翌月を起算月として3ヵ月目の末日、または、利用契約成立月に紹介が始まった場合は利用契約成立月を起算月として3ヵ月目の末日(以下「本特典期間満了日」という。)までにコンタクトが成立しない場合、当社は、会員に対し、登録料と3ヵ月分の月会費を全額返金(以下「本特典」という)します。ただし、返金する金額は、請求確定済みの金額を超えないものとし、本特典期間満了日までにTMS及びJBAコースを利用していた場合は、通常コースの登録料と3ヶ月分の月会費のみ返金するものとします。
(エン婚活エージェント株式会社「全額返金保証規約」第1項。2026年7月1日改定。2026年8月14日、編集部が画面で確認)
読みどころは末尾です。「返金する金額は、請求確定済みの金額を超えない」——まだ請求が確定していない分は戻る対象になりません。「全額」は、払った総額のことではありません。
「コンタクト成立」は、実際に会うことではありません
返金されるかどうかの分かれ目が、この語の定義です。同じ規約の第2項にあります。
「コンタクト成立」とは、当社の紹介情報提供に対し、会員と紹介相手が実際に会うことを希望する旨の意思表示を双方が行うことをいい、会員と紹介相手が実際に会うことを意味するものではありません。
(同 第2項)
双方が「会いたい」と意思表示した時点で、コンタクトは成立します。 そのあと実際に会えなかったとしても、成立は成立です。3ヶ月で1度も会えなかった人でも、意思表示が双方で揃った回が1回あれば、この保証の対象から外れます。
除外事由が7つあります
第3項には、受けるための条件が書かれています。
当社は毎月最低6名(希望条件やエリアによっては、この限りではありません。)の紹介人数を保証するものとしており、全額返金を受けるためには、本特典期間満了日まで毎月、当該6名の紹介に対して最低1名について、実際に会うことを希望する(紹介に対してのYes回答)ことが必要となります。
(同 第3項)
毎月、最低1名にYesと答え続けることが条件です。 そして第5項に、対象外になる場合が7つ並んでいます。
- 希望条件の著しい変更
- 期間内の退会
- 紹介中止の申し出
- 回答期限内の無回答が一度でもあった場合
- 入会申込日から1ヵ月以内に「紹介可能状態」にならなかった場合
- 債務履行の遅延によるサービス停止
- 過去にこの特典で返金を受けた場合
(同 第5項(1)〜(7)。2026年8月14日、編集部が画面で確認)
4つ目が重いところです。回答を1回忘れただけで対象から外れます。 保証を当てにするなら、規約のこの7つを先に読んでおくほうが確実です。
05成婚料は、戻る側の定めが公開されていません
成婚退会したあとに婚約が壊れた場合、払った成婚料は戻るのか。5社の料金ページ・よくある質問・注意事項を開いて探しましたが、返金の定めは1社も見つかりませんでした。 逆向きの記載ならあります。
成婚料とは、成婚退会をする際にお客様より一律で頂く費用で、必ず必要となります。
(株式会社IBJ「IBJメンバーズ よくある質問」。2026年8月14日、編集部が画面で確認)
成婚料には、法49条の上限も働きません。成婚退会は解除ではないからです。誰に、いつ、いくら発生すると公表されているかは成婚料の記事にまとめました。
06入会金は戻るのか——ここは断定できません
検索では「入会金 返金」という組み合わせがよく使われます。この記事では、戻るとも戻らないとも書きません。
理由は1つです。8日を過ぎた中途解約で事業者が請求できるのは「すでに提供された役務の対価に相当する額」ですが、入会金がその「対価」に当たるかどうかを判断した裁判例に、編集部はあたっていません。 条文はここを定義していません。
書けるのはここまでです。8日以内なら、第7項が「関連して受領している金銭」の返還を求めています。8日を過ぎたら、入会金の扱いは契約書面の書き方と、その有効性の判断によります。契約前に「途中でやめた場合、入会金はどう扱われますか」と聞いて、書面の第何条かまで確かめてください。
07「返金しない」と言われた例が、公的な記録に残っています
国民生活センターの「国民生活」2021年9月号に、こういう相談事例が載っています。約15万円の契約をした40歳代男性が解約を申し出たところ、「入会金、中途解約手数料等を含む10万円は返金しない」と言われた、というものです。
同誌は、結婚相手紹介サービスに関する消費生活相談が近年1,500件前後で推移していると書いています(国民生活センター相談情報部)。
「規約にそう書いてあるから」は、それだけでは答えになりません。 特定商取引法には、条文より不利な特約を無効とする定めがあります(法48条8項・49条7項)。どの条文がどの場面で効くかはトラブルの記事に類型ごとに分けました。
084つの場面を1枚に
| 場面 | 決めているのは | 戻ると書いてあるもの |
|---|---|---|
| 8日以内 (クーリング・オフ) | 特定商取引法 48条 | 関連して受領している金銭を速やかに返還。提供済みの対価も請求されない |
| 中途解約 (8日経過後) | 特定商取引法 49条 | 前払い額から「提供済みの対価+上限額」を引いた残り。上限は2万円か契約残額20%の低いほう |
| 全額返金保証 | 各社の規約 (法律に規定なし) | 登録料と3ヵ月分の月会費。ただし請求確定済みの額まで/除外事由7つ |
| 成婚料 | 各社の契約書 | 公開ページに定めが見つかりませんでした |
上2つは条文が決めていて、下2つは会社が決めています。 迷ったときに強いのは上の2つです。
よくある質問
結婚相談所の返金保証とは何ですか
3ヶ月お見合いが1件も成立しなかった場合に、登録料と3ヵ月分の月会費が戻る特典です。 婚活がうまくいかなかったときの保証ではありません。規約では返金額を「請求確定済みの金額を超えない」とし、対象外になる場合を7つ挙げています(04節)。
中途解約したら、払ったお金は返ってきますか
前払いした額から、提供済みの対価と上限額を引いた残りが戻る形です。 条文が決めているのは事業者が請求できる額の上限(提供開始後は2万円か契約残額20%の低いほう、開始前は3万円)で、返金額そのものではありません(03節)。
退会したら月会費は返ってきますか
日割りの精算をしないと書いている会社があります。 エン婚活エージェントの料金ページには「※日割り計算などはございません。」とあります。退会の締切と月単位の区切りは休会の記事に、5社の締切ごと並べました。
入会金は返金されますか
この記事では断定しません。 8日以内なら法48条7項が「関連して受領している金銭」の返還を求めています。8日を過ぎた場合、入会金が「提供された役務の対価」に当たるかを判断した裁判例に編集部はあたっていないため、戻るとも戻らないとも書けません(06節)。
途中退会でも返金される場合はありますか
あります。 IBJメンバーズは「入会時にお支払いいただいた活動サポート費のうち、未活動分を返金いたします」と書いています。まだ提供されていない分は戻る、という考え方です(03-1)。
IBJの相談所に返金の制度はありますか
IBJメンバーズは、中途退会時に活動サポート費の未活動分を返金すると公表しています。 クーリング・オフは契約書面の受領日から8日以内で全額返金。一方、成婚料については返金の定めを公開ページに見つけられませんでした(05節)。
成婚料は返金されますか
5社の公開ページに、返金の定めは見つかりませんでした。 IBJメンバーズは成婚料を「一律で頂く費用で、必ず必要」と書いています。成婚退会は解除ではないので、法49条の上限も働きません(05節)。
「一切返金しません」と規約に書いてありました
特定商取引法には、条文より不利な特約を無効とする定めがあります(法48条8項・49条7項)。ただし個別の条項が無効かどうかの判断は、この記事の範囲を超えます。契約書面を持って、消費生活センター(消費者ホットライン188)にご相談ください(07節)。
最後に
4つ並べて分かるのは、名前が強いものほど、働く場面が狭いということです。 「全額返金保証」は7つの除外事由を持ち、条文の第7項は「関連して受領している金銭」としか書いていません。
契約する前に確かめるなら、聞くのは2つです。途中でやめたときに入会金がどう扱われるか、書面の第何条か。 そして返金保証があるなら、その規約はどこで読めるか。 どちらも、面談の席で答えが出る質問です。
やめ方そのものの手順と、8日をどこから数えるかはやめるときの記事にあります。
この記事が根拠にした原典
読者が開ける出典
| 内容 | 原典 | 確認の仕方 |
|---|---|---|
| 8日以内の解除では提供済みの対価その他の金銭を請求できないこと/受領している金銭を速やかに返還すること/不利な特約の無効 | 特定商取引に関する法律 第48条第1項・第6項・第7項・第8項 | e-Gov法令APIで取得した原文XML。6項・7項は原文を引用。2026年7月22日確認 |
| 中途解約で請求できる額の内訳(イ・ロ)と上限(2万円又は契約残額の20%の低いほう/開始前3万円)/不利な特約の無効 | 特定商取引に関する法律 第49条1項・2項・7項/同施行令 別表第四 七の項 | 同じ原文XMLで確認 |
| 全額返金保証の対象(登録料と3ヵ月分の月会費)/「請求確定済みの金額を超えない」/「コンタクト成立」の定義/毎月最低1名へのYes回答/除外事由7つ | エン婚活エージェント株式会社「全額返金保証規約」第1項・第2項・第3項・第5項(2026年7月1日改定) | 編集部が2026年8月14日に画面で確認。第1項・第2項・第3項は原文を引用 |
| 3ヶ月コンタクト不成立で登録料と3ヵ月分の月会費を返金すること | エン婚活エージェント株式会社「よくあるご質問」Q63 | 同上。原文を引用 |
| 中途退会時に活動サポート費の未活動分を返金すること/成婚料は「一律で頂く費用で、必ず必要」 | 株式会社IBJ「IBJメンバーズ よくある質問」 | 編集部が2026年8月14日に画面で確認。2か所とも原文を引用 |
| 退会時の手数料・違約金が0円であること/クーリング・オフで全額返金 | 株式会社ZWEI「よくあるご質問」 | 編集部が2026年8月14日に画面で確認 |
| 中途解約時に法定の上限以外を請求しないと注意事項に明記していること | 株式会社オーネット「料金・プラン」注意事項 | 編集部が2026年8月14日にブラウザの実表示で取得。原文を引用 |
| 「※日割り計算などはございません。」 | エン婚活エージェント 料金ページ | 編集部が2026年8月10日に確認。原文を引用 |
| 約15万円の契約で「入会金、中途解約手数料等を含む10万円は返金しない」と言われた相談事例/相談が近年1,500件前後で推移していること | 国民生活センター「国民生活」ウェブ版2021年9月号 特集3(国民生活センター相談情報部) | 編集部が2026年8月14日にPDFの紙面で確認 |
取れなかったもの(埋めていません)
- 裁判例。 入会金・登録料が「提供された役務の対価」に当たるかを判断した判決文にあたっていません。06節で断定しなかったのは、これが理由です
- 消費者契約法。 あたっていません。「一切返金しない」という条項が無効になるかは書けません(9-8)
- 各社の会員規約の全文。 1社も取得できていません。返金の定めが規約のどこにあるかは書けません
- スマリッジの返金保証の規約全文。 同旨の保証があることは確認しましたが、条項ごとの条件は取得していません。04節で読んだのはエン婚活エージェントの規約です
- 実際に返金された金額。 編集部は当事者ではなく、実績を確認する手段を持っていません
- 2021年の相談事例のその後。 解決したかどうかまでは公表されていません
この記事は法令の条文・各社の公表資料・行政機関の公表資料に基づく整理であって、個別の契約についての法的助言ではありません。
実際に返金で困ったときは、契約書面を持って、消費生活センター(消費者ホットライン188)にご相談ください。
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